特定技能とは
入管法の改正
従来、日本の入管法上では「技術・人文知識・国際業務」や「高度専門」などの専門的な知識や実務経験、技術などを持っている外国人材のみを専門的な職業で受け入れる方針を取っていました。今回、より幅広い職種において人材を受け入れるにあたり、入管法が改正され新しい在留資格である特定技能が新設されました。 |
在留資格(高度専門職/技術・人文知識・国際業務/技能実習など全29種類)
2019年4月に在留資格「特定技能」を追加し、高度専門職/技術・人文知識・国際業務などを含め、現在29種類の在留資格が存在しています。 特定技能を含めた、在留資格一覧については、出入国在留管理庁の在留資格一覧表(令和元年11月現在) を参照ください。 2019年の入管法改正により「特定技能」が新設され、一定の技術を要しますが、産業・サービスの現場で働くことが可能になりました。但し、特定技能で就労が可能なのは14種の「特定産業分野」に限られています。 |
特定産業分野とは
2019年4月から在留資格「特定技能」が新設されたことにより、これまで一部例外を除いて外国人が就労できなかった、建設業界や造船業界、宿泊業界、外食産業などでも外国人の就労が可能になります。 とは言え、あらゆる業種で外国人の受け入れが可能になったわけではなく、受け入れ可能な業種は14業種に制限されています。この業種は入管法で規定されているのではなく法務省令によって定められています。今後も状況に応じて柔軟に増減することが予想されます。 特定産業分野の定義は「生産性向上や国内人材確保の取組を行った上で、なお、人材を確保することが困難な状況にあるため外国人により不足する人材の確保を図るべき産業上の分野」とされています。つまり、人手不足に悩む産業が特定産業分野とされているのです。 |
受入れ業種
特定産業分野には以下の産業が指定されております。 1 介護 2 ビルクリーニング 3 素形材産業 4 産業機械製造業 5 電気・電子情報関連産業 6 建設業 7 造船・舶用業 8 自動車整備業 9 航空業 10 宿泊業 11 農業 12 漁業 13 飲食料品製造業 14 外食業 |
特定技能2号の対象業種は以下の2職種です。
① | 建設業 | ② | 造船・舶用工業 |
特定技能2号においては家族の帯同が認められています。
特定技能外国人の雇用形態
在留資格「特定技能」を用いて外国人を雇用する場合、原則として正社員として直接雇用することが必須となります。 但し、農業と漁業に関しては直接雇用だけでなく派遣会社からの労働者派遣の受け入れも可能となっています。これは、農業と漁業に限って季節による作業の繁忙期・閑散期が存在すること、そして同じ地域であっても収穫や定植などのピークが異なることから、繁忙期に労働力を確保し閑散期には複数の産地や品目で労働力を融通し合うといったニーズがあることによるものです。 |
特定技能と技能実習の違い
特定技能と技能実習制度の一番大きな違いは制度の目的です。 技能実習制度は、外国人技能実習機構によると『技能実習制度は、我が国で培われた技能、技術又は知識の開発途上地域等への移転を図り、当該開発途上地域等の経済発展を担う「人づくり」に寄与することを目的として創設された制度です。』
外国人に日本の優れた技術を身につけてもらい帰国後に母国の産業発展に活かしてもらうことが目的となっています。
国際貢献を目的として設置された技能実習制度に対して、在留資格「特定技能」は働き手不足の解消を目的として設立された制度です。従って、実情と照らし合わせて現状に即した制度であると言えます。
特定技能外国人の転職の可否
技能実習制度を利用して日本で働く外国人は転職、即ち実習先企業の変更を行うことは認められていませんでした。
一方、在留資格「特定技能」においては同一の業務区分内に限り転職を行うことができます。また、試験等によって技能水準の共通性が確認されている産業に従事する特定技能外国人は一部業務区分を超えて転職を行うことができます。
日本においては憲法上職業選択の自由が認められており、当然日本で働く外国人にもこれは当てはまります。従って、労働条件や賃金によっては確保した外国人労働者が転職してしまったり、賃金が比較的高い大都市圏などに集中してしまう可能性もあります。
本件は2018年12月25日に「特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針」が閣議決定された際にも論点となっており、基本方針には「特定技能外国人が大都市圏その他の特定の地域に過度に集中して就労することを防止する上で、必要な措置を講じる」という一文が盛り込まれました。
具体的には、公共職業安定所(ハローワーク)が地方の中小企業の求人情報を海外で紹介し、地方都市求人と外国人とマッチングを推進します。また、外国人が来日した後にも雇用契約書や安全管理マニュアルの翻訳など適切な労務管理ができているかを各地の労働局の職員によりチェックし助言する体制を整備するとのことです。厚生労働省のみならず、各自治体も外国人の生活支援に取り組む他、公営住宅や空き家を住居として斡旋することなども想定されているようです。
「特定技能資格」の取得
外国人の学歴については特に制限がありません。
但し、日本の労働法上18歳未満の労働者には保護規定が適用されることから、特定技能外国人は18歳以上である必要があります。
特定技能制度特有の要件として課されるのが「特定技能評価試験の合格」または「技能実習の修了」です。